スマートフォンを充電できるようにする その1
ツーリング時にはスマートフォンのナビアプリを使用したいですが、そうなると充電が必要になります。日帰りツーリングだとモバイルバッテリーを使えば解決しますが、数日にまたがるキャンプツーリングの場合はモバイルバッテリーを充電するタイミングが非常に限られてしまいます。そうでなくても、そもそもバイクから充電したいですよね。
通常のバイクであれば市販のUSB電源キットを購入すれば解決します。しかし私の乗っているエイプはバッテリーを積んでおらず、ヘッドライトやウィンカーなどすべて交流電源で賄われています。交流だと市販のUSB電源キットが使えないため、直流に変換する必要があります。
今回はブリッジダイオードで全波整流し、電解コンデンサで平滑化しようと思います。
まずは無加工時の電圧を測定しておきます。アイドリング時はAC 8.54Vでした。電力の供給が足りておらず、12Vを大きく下回っています。
ある程度回転数を上げると AC 11.75Vになりました。タコメータが無いため正確な回転数が分かりません。多分3000回転ぐらいだと思います。それでも12Vに足りていません。エイプは慢性的な電力不足ですね。
さて、ここからは直流電源による測定を行います。ネットの情報によると、簡単な配線加工で直流が取り出せるようです。レギュレータに刺すカプラはこのようになっていますが...
こんな感じにすると緑から+、オレンジから-が取り出せます。ただし半波整流です。
電圧を測定します。アイドリング時はDC 3.74Vでした。4Vは超えると思ってましたがレクチファイアがそれなりに抵抗になっていたのでしょうか。
回転数を上げてもDC 5.03Vぐらいにしかなりませんでした。これでは使い物にならないですね。
そこで電解コンデンサを使います。 ネットの情報を参考に、25V 6800μFのものを用意しました。電子部品屋さんで150円で売ってました。これとほぼ同じものが「バッテリーレスキット」と称してKITACOなどのメーカから5000円で販売されています。闇が深いですね。
さて、電圧を測ってみると、アイドリング時でDC 12.68V出ました。
回転数を上げるとDC 14.46Vになりました。すごいですね。しかしこれはDC化した先でテスターしか繋いでいないからです。コンデンサには電気が貯まる一方で、使う先がありません。これではこの数値に何の意味もありません。
そこで、そのへんに転がっていた12V5W(28.8Ω)の発熱電球を抵抗として繋ぎました。一般的なUSB電源は5V2.1A(2.38Ω)のため、これに耐えられるのであれば問題ないかと思います。さっそくエンジンを掛けてみるとアイドリング時でDC 6.65Vになりました。
回転数を上げてもDC 10.70Vにしかなりません。これではスマートフォンを充電できるか怪しいですね。半波整流だとやはり厳しそうです。
全波整流するため、ブリッジダイオードを使います。今回は600V 10Aのものを用意しました。260円でした。選定基準は適当です。
最初に施した半波整流の加工を元に戻し、ブリッジダイオードとコンデンサを繋ぎます。アイドリングでDC 7.95V出ました。
回転数を上げるとDC12.71Vになりました。うーん、もう少しイケると思ったのですが...とりあえずこれでよしとしましょう。
今回の結果を表にまとめます。次回は実際にUSB電源キットを使ってスマートフォンが充電できるかをテストします。
環境 | 抵抗 | アイドリング時 | 巡航時 |
---|---|---|---|
無加工 | 0Ω | AC 8.54 | AC 11.75V |
半波整流 | 0Ω | DC 3.74V | DC 5.03V |
半波整流 + 平滑化 | 0Ω | DC 12.68V | DC 14.46V |
半波整流 + 平滑化 | 28.8Ω | DC 6.657V | DC 10.70V |
全波整流 + 平滑化 | 28.8Ω | DC 7.95V | DC 12.71V |
品名 | 型番 | 値段 |
---|---|---|
ブリッジダイオード 600V10A | S10VB60 | 150円 |
電解コンデンサ 25V 6800μF | 1EUTES682M0 | 260円 |
合計 | 410円 |